花とミツバチ



「…私も、そうです」

「?」

「奥さんといる時の課長のあんな笑顔、初めて見ました」

「……」





きっとあの時の彼も同じ、愛しい笑顔





「…お互い様、か」



本人も言われて気付いたのか、参ったように髪をかいてグラスの中のシャンパンをクイッと飲み干す。



「…けど始まりは確かに興味だったかもしれないけど、本気の気持ちもあったよ」

「…?」

「真面目で強がりで、そんな藤田を可愛いと思うこともあった。何度かするうちに、愛情だって感じてた」

「……」

「もっと早くに出会えていれば…なんて、ベタかもしれないけど」





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