花とミツバチ
「じゃあ俺は少し飲んで適当なところで切り上げるから、お前らもほどほどで帰れよ」
「あ…はい、」
「…千葉と仲良くな」
小さく笑い、近付く顔。
その唇は優しく頬に触れて離れ、彼は手をふり会場の中へと紛れて行った。
「…、」
きっとこれが、彼との最後のキス。
頬に触れた唇はやっぱり優しくて、きっと前までの私なら泣いていた。…だけど、もう大丈夫。
「藤田先輩」
「…千葉くん」
入れ替わるようにその明かりの中から姿を現す彼に、笑みがこぼれる。