花とミツバチ
「ー…あぁ、悪いな今日も帰りが遅くなって」
「……」
ーそれから半年が経つ、とある夜。
会社からタクシーで少し行ったところにある、夜景が綺麗なことで有名なホテルの一室で、私は裸にシーツをまといベッドの上に横になる。
視線の先には、ベッドの端に腰をかけ携帯片手に電話をするその後ろ姿。
「今仕事がひと段落したから…そうだな、日付けが変わる頃には家に着くよ」
日に焼けた、色黒の肌をした大きな背中。少しシワの見える横顔は、笑顔を見せながら事実とは異なることを平気で言う。
「…あぁ、じゃあまた」
ープッ、
通話を終えホーム表示に戻る画面。それを合図に、私は声をかけることを許される。