花とミツバチ
「…いいんですか…?」
「うん。ちゃんと終わりに出来てすっきりした」
あはは、と笑ってみせた私に、彼の丸い瞳は不安げに揺れる。
その不安を今度は私が拭うように、手すりにグラスを置きその大きな手をきゅっと握った。
「千葉くんのおかげで、踏ん切りついた」
「…?」
「今の自分がどうしたいのか、ようやくわかった」
元に戻るための終わりじゃない
進むための終わり
だから、そんな不安げな顔しないで。
この心に触れて。
「…ありがとうね」
見せた笑顔に応えるように、彼は私の腕を引き寄せ体をぎゅっと抱き締めた。