花とミツバチ
12.ひとつだけ
ー…
「…はぁ、」
翌日の昼間、一人歩く会社の廊下に小さなため息がひとつこぼれた。
昨日は結局普通に居酒屋行って、飲んで、家まで送ってもらって…何も言えなかった…。
たった一言すら言えない、そんな自分がもどかしい
あーもう、何で言えないかな自分!
『好き』その一言を頭の中でめぐらせては、今日も言葉には出来ずにいる。
(…コーヒー飲んで落ち着こう…)
そうやってきたのは、自販機のある休憩室。いつも買っている甘めのカフェオレを買うと、ここで飲んで行こうかデスクで飲もうか迷いながら室内を見回す。