花とミツバチ
(な、何この急展開…いや、ていうかそもそも)
「私、千葉くんのこと好みじゃないんだけど…」
「知ってます!藤田先輩年上好きそうですし…だから玉砕覚悟です!」
「それなら何で…」
「それでも、一度くらい考えてみてくれませんか」
ようやく把握し出した現状に、気付けば肩を掴むその手は微かに震えている。
「一度だけ、チャンスもらえませんか!?俺、頑張りますから…藤田先輩が不倫やめたくなるくらい、惚れさせてみせますから!!」
「……」
私の気持ちが、変わるくらい?
正しくないとわかっている甘さから、逃れられるくらい?
必死な顔で一生懸命気持ちを伝える、そんな彼が求める『チャンス』。
それはもしかしたら、私にとっても『チャンス』に変わるかもしれない。
この恋を終わらせる、ための。