花とミツバチ



(な、何この急展開…いや、ていうかそもそも)



「私、千葉くんのこと好みじゃないんだけど…」

「知ってます!藤田先輩年上好きそうですし…だから玉砕覚悟です!」

「それなら何で…」

「それでも、一度くらい考えてみてくれませんか」



ようやく把握し出した現状に、気付けば肩を掴むその手は微かに震えている。



「一度だけ、チャンスもらえませんか!?俺、頑張りますから…藤田先輩が不倫やめたくなるくらい、惚れさせてみせますから!!」

「……」



私の気持ちが、変わるくらい?

正しくないとわかっている甘さから、逃れられるくらい?



必死な顔で一生懸命気持ちを伝える、そんな彼が求める『チャンス』。

それはもしかしたら、私にとっても『チャンス』に変わるかもしれない。

この恋を終わらせる、ための。



< 22 / 261 >

この作品をシェア

pagetop