花とミツバチ



その時、突然ピタッと頬に当てられた冷たい感触。



「ひっ!?」



驚き振り返ると、そこには缶コーヒーを二本持ち笑う千葉くんの姿。



「あはは、びっくりしましたー?」

「ち、千葉くん!何いきなり…ていうかいつの間に、」

「普通に入って来ましたけど…藤田先輩ボーッとしてたみたいだったんで」

「うっ」



図星を突かれギクリとする私に、彼は缶を一本手渡し隣のデスクによりかかる。



「取引先遠くてようやく戻ってきたらここだけ電気ついてたんで、また先輩残業してるのかなーって思ってコーヒー買ってきました」

「ありがとう…いただきます」



いつだったか前にも似たようなことがあったなと思い出しながら、受け取った缶をカチッと開ける。




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