花とミツバチ
「っ…、」
すると視線の先には、急ぎ足で駅へ向かう背の高い後ろ姿。
「千葉くん!!」
「!?っ…」
私が追いついてくるとは思わなかったようで、私に気付いて彼はまた走るスピードをあげる。
「待って千葉くん!待って…」
けれど少し走っただけで既に私の足は限界で、道の小さな溝につまずきその場に思い切り転んだ。
ードタンッ!!
「っ〜…」
じんじんと膝が痛む。いきなり走ったから、呼吸が苦しい。
こうしている間にも、彼は遠ざかって行くだろう。
…もう、追いつけない。
家まで押しかけたら、気持ち悪がられるかな。明日会社で行きあっても、目も合わせてくれないかもしれない。
(苦しい…)
息のあがる体
頭の中には彼の悲しい顔ばかりが思い出されて、涙が溢れる。