花とミツバチ





彼女と出会ったのは、一年前の4月。

俺が初めて配属された営業部の事務員として藤田先輩はいた。真面目で私語もなく仕事をする姿が、とても印象的だったのを覚えてる。





『藤田先輩って美人ですよねぇ』

『そうか?まぁ悪くはないけど…でもあいつは性格がなぁ』

『??』





他の先輩たちの言葉の意味を知ったのは、それからすぐのこと。





『入社したてで慣れないのはわかるけど、期日くらい守って。もっとちゃんとしてちょうだい』





分かっていたつもりではあって、自分が悪いのもわかってる。

けど、社会っていうのはこんなにも厳しい物言いをするものなのかと、入社半月で心が折れかけた。



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