花とミツバチ
『お疲れー、気をつけて帰れよ』
『藤田酔っ払ってるけど帰り大丈夫か?』
『あっ俺が送り…』
『俺が送るよ。いいか?藤田』
『…はい、』
『……』
ある日の飲み会の帰り、本当は勇気を出して送ろうと思ったのに、課長の申し出に嬉しそうに頷く彼女に何も言えなかった。
あの日あそこで勇気を出していたら、引き止めて俺が送るって言えていたら、何か変わったんじゃないか。
悔やみ、もどかしい日々が続く。
けどそれから、ふたりの不倫現場を目撃して、その勢いで告白して…なんだかんだありつつもまさか付き合えるなんて誰が想像ついただろう。
沢山へこんで泣きたくなるような時もあって、けどその度好きなんだって実感して、それでも彼女といたかったから
自分がズタボロになるような結末でも、最後まで彼女に恋をしていようも決めたから
彼女が俺の手をとってくれた、今この瞬間が最高に幸せだ。