花とミツバチ



「じゃあついでに、私たちが付き合ってるのも周りには内緒にしておいてね」

「へ?何でですか?」

「少しだけ付き合う、って言ったでしょ?付き合うって公言しておいてやっぱり無理ってすぐ別れたらそれこそお互い気まずいじゃない」

「あぁ!確かに!」



我ながら可愛げのない言い方だと思う。けれどそれにも彼はわかりました、と笑顔で頷く。



「何か秘密の関係って感じでドキドキしますね。あ、いや俺は藤田先輩といるだけでドキドキするんですけど!」

「……」



ドキドキって…初めての恋愛でもあるまいし大げさな。

(千葉くんにキャーキャー言ってる人たちはこういうのが可愛いの?本人もそれが売りなの?)


キャッキャとはしゃぐ幼さの見える彼に、私の視線はまた冷ややかになっていく。



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