花とミツバチ
席につきながらうーんと頭を悩ませていると、続いてまた開けられるオフィスのドア。
「あっ、梶原課長おはようございまーす」
「おはよう」
「……」
そこから現れたのは、今日も変わらず視線を誘う彼の姿。
「藤田、おはよう」
「…おはよう、ございます」
「今日も一日頑張ろうなー」
課長はそう歯を見せて笑うと、ポンポン、と私の頭を優しく撫でた。
その瞬間に、ふわりと香る彼の匂い
「…、」
千葉くんのことを、少しだけでも考えようと頷いた。
だけどやっぱり、私の心を動かすのはこの人だ。
その眼差しからは逃れられない
指先ひとつに、容易く全てを揺さぶられる。