花とミツバチ



「けど…千葉くんのお昼は?」

「俺午後外回りだからその時にコッソリ買って食べるんで!ご安心を!」

「……」

「先輩元々細いんだから、ちゃんと食べておかないと」



そう笑って、半ば強引に彼は私の手元へ袋を渡した。



「…ありがとう」

「どういたしまして」

「……」



(…調子、くるうなぁ)

何を言っても何をしても、にこにこ笑って優しく接するから。



「……」

「……」



他のみんなは休憩や営業で出払っている、二人きりのオフィス。当然会話が途切れれば、その場は無言となる。



…そういえば千葉くんと二人きりって、あんまりなったことない。

そう少し意識してみれば、隣同士でコーヒーを飲むこの光景に何だか緊張してしまう。


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