花とミツバチ



(そもそもうちの男共は適当すぎるのよ!ミスも多いし直さないしっ…)



「藤田ー」

「?はい?」



すると、不意に呼ばれた名前。それに顔を上げると、突然眉間をトンッと指で小突かれた。



「!」



それは梶原課長のもので、驚き固まる私に彼はふっと笑ってみせる。



「眉間にシワ。寄ってるぞ」

「…すみません」

「あんまりイライラするなよ。糖分とれ、糖分ー」



私の気持ちを宥めるように、頭をぽんぽんと撫でてデスクへ戻って行った。

ただそれだけの、一声。けれどそうやって空気を和ませるのが上手な人。



(…また、キツい顔って思われたかな)



どんなにイラついている時も、その姿ひとつにほだされてしまうものだから、困る。



< 46 / 261 >

この作品をシェア

pagetop