花とミツバチ
「…ー、」
「…?」
すると通りがかったのは、オフィス手前の喫煙室。
そこはいつも休憩時間になると喫煙者ばかりの男性社員で溢れており、今日もそれは変わらずのようでその部屋からは彼らの低い声がよく聞こえてくる。
「…ですよね!けどー…」
(…あ、千葉くんの声)
そんな中でも一際よく聞こえるのは、元気のいい千葉くんの声。どうやら彼もこの喫煙室の中にいるらしい。
爽やかな見た目の彼が煙草を吸うことが、少し意外だ。
「藤田の奴、本当うるせーよなぁ」
「……」
そのまま通り過ぎようとしたものの、聞こえたその言葉にピタリと足を止めた。