花とミツバチ



ダメ、いけない、そう想いながらもキスする度にやめられない関係は、もう半年になる。



いけないことだなんてわかってる。

誰一人として幸せにならないことも、わかってる。

けど、それでも




「…じゃあまた明日。おやすみ」

「…おやすみなさい、」



ーバタン…

その姿が去った後の部屋。シーツに残るのは、煙草とムスクの香水の匂いがほのかに混じった癖のある彼の匂い。



(…いい匂い、)



その香りに甘えるように、シーツを抱きしめて目を閉じた。





恋をしてはいけない人。

それでも、好きな気持ちは消えないのだから仕方ない。



そう自分を正当化して、今日も一人夜を越える。





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