花とミツバチ



(…いちいちそんなこと言わないで、適当に流してればいいのに)



そういう真面目な優しさが

嬉しい、なんて




「…千葉、お前って…マゾ?」

「え!?違いますけど!?」



そう笑い煙草を吸い終えたのか、男性社員たちはゾロゾロと喫煙室から出てくる。



(ま、まずい…行きあったら気まずい)

そんな人々に私はつい咄嗟に近くの柱の影へと隠れた。



「あー、午後もだるいなー」

「あ、俺トイレ行ってから行くんで」

「おー」

すると千葉くんは去って行く皆から一人外れ、かと思えばスーツの内ポケットから何かを取り出しシュッシュッとスプレーを全身へ噴きかける。



「…い、いきなり何してるの?」

「わ!藤田先輩!?」



その突然の行動に、思わず柱から姿を現し疑問を言葉にせずにはいられない。そんな私に、当然彼は驚いて声をあげた。


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