花とミツバチ
ー…
「藤田ー、これ入力よろしく」
「はい。わかりました」
藤田梓、26歳。都内にある食品卸業者で事務員として働く会社員。決して目立つ方ではない、至って普通のOLだ。
都内や関東近辺のスーパーからレストランにまで広く食材や加工食品を卸しているこの会社で、私のいる営業部は基本的に男が営業、女は事務…と分かりやすい構成になっている。
そしてその部署を課長としてまとめるのが彼・梶原課長。
「…あ、この発注書書いたの田中さんですか?ここ間違ってます」
「へ?あー、直しておいて」
「この前もここ間違えてましたよね?気をつけてください」
「悪い悪い、そんな怒るなってー」
強めの口調で指摘しキビキビと仕事をする私に、先輩の一人はあしらうようにバシバシと背中を叩いた。