花とミツバチ



(…もしかして、気付かれた?)



梶原課長と一晩中一緒にいて、同じ匂いさせてること。気づいてあえて、何も言わずに匂いを誤魔化した?



「…ごめん、」

「?何で謝るんですか?」

「…なんとなく」

「俺は、藤田先輩とお揃いの香水つけられてラッキーって感じです」



またそうやって、彼は嬉しそうに笑う。



(…私だったら嫌になる)



好きな人が自分の気持ちを知っていて、それでいて他の人と一晩過ごしていたことを示すような匂いさせているなんて。

けどそれでも彼は、いたって明るく振る舞うから。



心が痛い

『正しいこと』の意味が、余計にわからなくなるよ





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