花とミツバチ
「……」
一日中パソコンと向かい合うこの仕事。
年齢的にももう新人では括られない位置から、余計に仕事中の目は厳しくなる。いちいち細かく指摘する私に周りは煙たがるけれど、だからと言って間違いをそのままにしておいていいわけでもないし…。
まぁどうせ何を言ってもあしらわれるんだけど、それでも強く言わずにはいられない。おかげでここでの私の評判は、すっかり『キツい女』だ。
「藤田先輩」
「?…あ、千葉くん」
「この書類、お願いします」
「うん、わかった」
そう書類を手渡すのは、スーツ姿の若い男の子。入社して一年弱の一番下っ端営業マン、千葉晴人くんだ。
白い肌に茶色の癖っ毛、丸い瞳…可愛らしい顔立ちをした彼はそれに加えいつもにこにこと愛嬌のある表情をしている。