花とミツバチ
「?ここ空欄になってるけど」
「へ?あっ本当だ!すみません!」
「数量欄は空欄だと大ミスの元だから。気をつけて」
「はーい…あれ、ここ数量10だっけ。いや、15だった気が…あれ?けどこっちが15?」
「…取引先に確認してきなさい」
「はい!そうします!」
一度は受け取った発注書を返す私に、彼は仕事用の携帯であせあせと取引先へ電話をかける。
まだ新人だから仕方ないのかもしれないけれど、仕事に関してはまだまだ半人前でミスも多い。普通の男の子と比べてもやや天然っぽい気がする。
けどそれでも周りに気に入られるのは、彼の人懐こい性格故。それはそれで、純粋にすごいとは思う。
「ー…はい、ありがとうございます。すみませんでした。失礼します」
ーピッ、
「数量いくつだって?」
「この空欄のところが5でここが10でした!」
「全然違うじゃない…」
「へへ、すみません!」
「笑い事じゃない。他の発注分も一回見直ししてきなさい」
「はいっ!」
そう命じられるがまま、千葉くんはバタバタとデスクを離れた。