花とミツバチ
「憧れから始まったものかもしれないけど…それでも、隣にいられたらいいなって…思う」
「……」
その手をつなぎながら話すのは、彼以外の人への想い。
それでも彼は、この手を離すことなく
「…そっか、」
呟いては、笑う。
「…ごめん。こんな話、聞いても面白くないよね」
「ん?いーや、大事ですよ」
「?」
「藤田先輩のことなら、聞きたくない話も聞きたいです」
「……」
「どんなことも知って、もっともっと近付きたいです」
どんな聞きたくない事実も
心が痛くなるような想いも
聞きたい、と耳を傾ける。
そんな真っ直ぐな一言が、また一気に心の距離を近付けた。