『※ BLではありません。』
何かが起きた時、
感情表現の苦手な人種を襲うのは、
''世間の目''。
まぁ仕方ないんだろうな、
くらいにしか、思っていなかった。
父親が死んでも泣かず、淡々と別れの言葉を述べるような子ども、つまり''僕''は、
周りから見て不気味な存在でしかないだろう。
この強度なストレス状態において
桐みたいに、癇癪を起こせたら…
楓みたいに、声を詰まらせることができたら…
彼らや僕に向けられる視線も、
僕自身のこの不安定な気分も
もっと違ったものだったのだろう。
と思う。
「親が死んだっていうのに、随分冷めているんだねぇ」
「きっと、お父様似なのよ」
「ああ…冷血だったんですって?」
こそこそと交わされる似たような会話の内容を僕は、聞き流していた。
陰口なんて日常茶飯事だし
他所様のご婦人に好かれる必要もなかったから。
けど、たぶん…楓は違ったんだ。