『※ BLではありません。』
Chap.8
廊下を足音に気をつけてそっと歩く。
お祖母様はとても敏感で(過敏ともいう)
少しでも足音がすると次の日、お説教をされてしまう。
昼間の楓の態度からみても、
いま、この時期にご機嫌を損ねるのは
あまり良い行いとはいえない。
働くことのできる両親がいない今。
僕らの母である人の入院費
僕らの生活費
学費
その他、現実的に必要な額(もの)全ては
楓や僕ができるバイトでは賄うに充分でないことは安易に想像がつく。
そうなったら頼れるのは血縁関係のある祖父母くらいだ。
かといって、自分たちの生活だけでも手一杯の母方の祖父母には頼れない。
何か法的な手続きをとって援助を受けるとしても、貢献者たるものが必要だ。
となると、どうしたって父方の祖父母くらいしか、当てはないのである。