『※ BLではありません。』
一瞬止めた歩を、警戒しながらも足早に進めて行くと
微かだが、聞き慣れた兄の声がした。
楓…?
感覚的に行ってはいけない気がした。
彼のくぐもった声を明確に聞くことのできる距離に。
それでも、
僕には引き返すという選択肢はなかった。
楓ばかり背負わせるわけにはいかない。
ざわざわと警告する直感を無視し、
足音を殺してジリジリと
祖母と叔母と兄の居るだろう扉の向こうとの距離を縮める。
「・・・だ.....んな.....いが、起こるとでも?」
徐々に聞き取れるようになってきた。
扉まで、あと1mのところ
「僕の妹は、そんな人間じゃない!」
興奮した楓の声が耳に飛び込んできた。