彼氏は11才!?
目前に虎の牙。


「危な…ッ」


退け反るように後方に上半身を倒して避け、そのまま自分の背中を地面へと倒して私の上を飛び越える虎の腹めがけて足を思いっきりブチ込んだ。


踵で腹部をえぐるような蹴りが見事に入り、虎がのたうち回る。



乙女の柔肌に傷を付けた仕返しとばかりに悶える虎の顔面めがけて踵落としを繰り出すが、虎は転がるように避けて体勢を立て直す。

そしてすかさず私の足へと噛み付こうとしやがった。


牙が足をかすめ、ニーハイソックスからは肌と血が覗いていた。

ほんの少しかすめただけで剃刀のように皮膚を裂く牙…モロに噛み付かれたら、きっと食い千切られるだろう。



「どうしよう…」



体力的に私が圧倒的不利。

長引けば長引く程、危険性が増してゆく。
今も十分危険だけどね。


思案する私をよそに虎はグルルル…と唸り声を響かせ、怒りのボルテージを上げている。



ハッキリ言って怖い。
マジで怖い。



どうして虎と戦ってんの、私。

さっき虎が悶えてる時にゴリラの檻によじ登って逃げれば良かったじゃん。

何で虎に踵落とし食らわせようとしたのさ。


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