彼氏は11才!?
そもそも動物園に遊びに来たんだよね?


なのに紅ちゃんはマレーバクを見て『不味そう』なんてぬかすし、狼はズコバコとヤッてるし、変態双子とは遭遇するし。


家でゲームしてた方が楽しかったよ。


何でこうなったの。


あ、何か涙出てきた。




「白雪さん!!」



乃薔薇ちゃんの叫び声にハッ、と我に返る。



涙で滲む視界に映る虎の前足。
しまった、と舌を打つ。

泣いている暇なんて無かったのに…!!



眼前に迫る虎の前足。
確実に私の顔面に狙いを定めている。



これは避けきれない…!!



常人なら覚悟を決めて少しでも傷を減らそうと守りの体勢に入るだろうが、あいにく私はそんな可愛らしい思考回路なんて持っていない。




避けきれないのなら避けなければいい。



攻撃こそ最大の防御だ。



虎の前足が届く前に私は両手を伸ばし、虎の顔面を挟み込むように掴んだ。

フサフサとした毛をしっかりと掴み、頭を後方に反らしてから渾身の力を込めて思いっきり前方へと突き出す。



「オラアァァァァァッ!!」



渾身の頭突きは虎の額に命中し、ガアァァァッ!!と悲鳴じみた咆哮を上げる虎。


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