彼氏は11才!?
「どうしてそんなに嫌がるんだ?」

「日頃の行いを振り返れ」



頬を膨らましても可愛く無い。
殺意が湧くだけなんだけど。



「とにかく行かないから」

「そうですか…せっかくダイナソー半田が来るって言うのに…」



乃薔薇ちゃんの言葉に私の耳があまりの衝撃に痙攣した。



「今…何と?」

「全日本プロレスが誇るファイター・ダイナソー半田が来るんです」




ダイナソー半田…!!

16歳でプロレスの世界に入り、20年経った今でも無敗を誇る鉄腕ファイター!!

彼がこんな田舎町に来るなんて…!!




衝撃の余り、私は震えた。


そして。



「行く!!海行くよ!!」




ガシッ!!と乃薔薇ちゃんの手を掴んで叫んだ。

興奮の余り、元気良くヨダレを垂らしながら。

この時の私は果てしなく気持ち悪かったと思う。


けど、そんな私より気持ち悪いのは溢れ落ちた私のヨダレをそっとハンカチで拭き取り、ポケットにしまった幻弥だ。



そんな幻弥の奇行すら寛大に見逃すほど、私は舞い上がって踊り狂った。






「では明日の朝9時に現地集合ということで」

「エンジェル神宮と正宗君も誘うといい」
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