彼氏は11才!?
高級住宅街にどっしりと佇む日本家屋を見て呆然とする私と正宗。
父さんは驚いていないようだから、知っていたのだろう。


「久しぶりね…この屋敷に帰って来るなんて」


懐かしそうに呟く母さん。
屋敷をグルリと囲む塀は延々と続き、遠くに見えるご近所さんの家が玩具のように見える。


「でも何で今まで帰らなかったの？」

「父さんと駆け落ちなんかしたばかりに親子の縁を切られて遺産を配分されなかったのよ」

「駆け落ち!?父さんと母さんが!?」

「若い頃には色々とあるものさ…」


くたびれた笑顔を浮かべる父に何があったのだろう。母の過去同様、触れてはいけない気がする。

どうか私達の知る、毛根が危ういだけの優しい父であって欲しい。



「さぁ、行くわよ！」



なぜ腕捲りをする。
戦争にでも行く気か？



城の入り口のような門の横にコッソリとあるインターホンを押す母。
インターホン越しに女の人の声が聞こえ、少しの会話の後にギギギ…、と音を立てて門が自動的に開いた。

「すっげー…。姉ちゃん、池があるぜ」

「時代劇でこんなの見た気がする…」


外観も凄かったが、中身は更に凄い。
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