彼氏は11才!?
だが、こんなことで参る正宗では無いことを私は知っている。
私と母の理不尽な暴力により耐性の付いた正宗の立ち直りは早い。


「いってぇ…っ」


ほらね。
一般人なら気絶するか死ぬであろう殺人技をかけられても正宗は意識を決して飛ばさない。

さすが私の弟だ。

だからこそ、私は愛する弟に世間の厳しさを教えてやろうと思う。
断じて楽しんでいるワケじゃない。これは教育という名の愛情だ。



「きょぎゃああぁぁぁおぉァァァッ!!」



すかさずチキンウイング・アームロックをかけてやれば、正宗の悲鳴が響いた。
さぞかし痛かろう。
私も母さんにやられた時は失禁しそうになったからね。


ちなみにチキンウイング・アームロックとは、相手の腕を体の裏側に捻り上げる関節技だ。



「ギブ!!ギブッ!!ギブぅぅぅ!!」


バシバシと床を叩き、死にもの狂いでタップをする正宗。
私は天井を見つめ、気付かぬフリをする。


メキメキメキ…ッ


軋む正宗の腕。



「無視してんじゃねぇぇ!!マジで腕が壊れる!!好きなモン買ってやるからもうやめてぇぇぇ!!」

「え?マジで?」



パッ、と腕を離せば転がるように正宗が私から離れた。

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