彼氏は11才!?
だろうね。
聞いた私が馬鹿だった。



「そうだ。ちゃんとした布団、見付かったよ」


母さんと父さんの寝室の押し入れにあった福引で当てた新しい布団セット一式が発見され、めでたく私の部屋に来た。


ちなみに異臭を放っていたあの布団は即座に母さんに回収され、粗大ゴミとして出されることが決定した。


「髪、ちゃんと乾かさないと風邪引くよ」



私はベッドから下り、布団の上に座る紅ちゃんの後ろに座って肩にかけてあったタオルで髪を拭いてやる。


「白雪の家は騒がしいな」

「まぁ…一般家庭よりは騒がしいと思う」


「でもいいことだ。家族と会話があるし、変態とはいえ自分を好いてくれる者達が居る。誰にも相手にされないよりは幸せだ」


紅ちゃんの小さな背中。
大人びた口調や冷めた態度は、きっと大人達が作り出したものだ。


「紅ちゃんはもうウチの子なんだから、毎日こんな生活になるよ」


そう言うと、紅ちゃんは私へもたれてきた。


「それは楽しみだな」


上を向き、笑う紅ちゃん。

それは本当に子供らしい笑顔だった。

その笑顔に何だかホッとしてしまう。

こうやってちゃんと笑ってくれることに安心した。
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