彼氏は11才!?
トントン、と指先で私の肩を叩く正宗。

振り向けば、正宗は公園の脇に停車してある一台のワゴン車。

『修理ならおまかせ!』と文字が車体に書かれている。


更に荷台の扉は開いており、修理道具が詰め込んであるのが見えていた。

それも作業服まで置いてあるではないか。



「あれは使える!」


散歩をしていた老人の視線をものともせずにモソモソと歩伏前進で進む私達。
警察に見られたら一網打尽だろう。




「人は居ないようですね」


周囲を警戒しながら車内を覗き込めば、好都合なことに無人だった。


さっそく、黒いつなぎ状の作業服を手にして制服の上から着る私達。
制服は夏服の為、重ね着しても何とかなりそうだ。


「でもいいのかなぁ…。勝手に借りたりして…泥棒にならない?」

「見付かった場合、兄さんに罪をなすりつければいいんですよ」

「それはいい案だ!」


「幻弥先輩ってこういう時だけ便利だな」


確に。

ドMの心理は理解出来無いが、幻弥の場合はこういう時に役立つ。

率先して犠牲になってくれる者なんてそう居ないだろうよ。
それも友情の為では無く、快楽の為だなんて気持悪くて泣けるけど。
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