彼氏は11才!?
美青年の顔が涙と鼻水で汚れ、更には口から泡みたいなものが出ている。

そんなエミリオ先生に手を握られている私。


非常に不愉快だ。


「ちょっと、イタリア人。白雪さんの手を握らないでくれません?その手は縛る為にあるのですよ」

「乃薔薇、勘違いはよしなさい。羽咲さんの手は俺を痛めつけ、快楽へ追い込む為にあるんだよ」

「どっちも違う」


勘違いも大概にして欲しい。
この兄妹は私を何だと思っているのだろうか。


「貴女のような優しい方は初めてです…っ、両親ですら僕をクズだと言って真冬の川に放り投げたのに赤の他人である貴女がこんなに優しくしてくれるなんて…!」


真冬の川に放り投げられたって…両親の殺意が見え隠れしてるよね。

この人の人生に一体、何があったんだろう。


「とにかく早く探しましょう?ここに居ては何の解決にもなりませんから」

「はい…」


エミリオ先生を諭し、ようやくトイレから出た私達。

当初の目的から180度変わって行方不明者の捜索となってしまった。

エミリオ先生と行動を共にすることで怪しまれない利点はあるが、余計な手間が増えたことは間違い無い。


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