彼氏は11才!?
私が5歳の時なんて蝶々追い掛け回してウンコ踏んで泣いてたよ。



「確か写真があったはずよ」



母さんがゴソゴソとリビングにある本棚からアルバムを取り出し、広げる。





運動会で男子に跳び蹴りを食らわす小4の私。

木刀片手に近所のヤクザをボコる母。

女子生徒9人に囲まれる中1の正宗。

近所の猫に襲撃される父。




数々の思い出達を通り過ぎ、母さんの手が止まった。

「ほら、この子よ」


母が指を差した先には、私にしがみ付いて涙ぐむ一人の少年。


少し色素の薄い茶色い髪に真ん丸な大きな瞳。
女の子と見間違えてしまいそうなくらいに愛らしい顔立ちをしている。


「紅一郎君の夏休みに、清彦達が仕事で留守にする間だけ私達が預かったの」


そういえば…そんなことあったっけ。


「清彦が迎えに来た時、白雪から離れたくないってグズっちゃって凄く大変だったわ」


あ…何か思い出してきた。

「紅ちゃん…」


確か、私はあの子をそう呼んでた。

紅ちゃんは頭が良くて、5歳も年上だった私より色んなことを知ってた。

算数も漢字も英語だって知ってて、夏休みの宿題を教えてもらった記憶がある。
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