彼氏は11才!?
悶えようにも体が動かない。


涙が溜る目を開け、自分の体を見れば紅ちゃんが私の腹の上に跨っていた。


どうやら、腹に跨る紅ちゃんに私はビビッて飛び起きた際に頭突きを食らわせたらしい。


だが、痛みで涙を浮かべる私に反して紅ちゃんは涼しい顔をしていた。



「白雪、大丈夫か?」


マジですか。

私の頭は大人を脳震盪に追い込むほど頑丈だというのに、この少年の頭は更に硬度が高いらしい。

私、脳ミソが飛び出たかと思ったんだけど。



「もー…朝っぱらから何してんのー」


額を擦りながら紅ちゃんを見れば、ズイっと紙切れを目前に近付けられた。


虎と羊が共に笑い合っている絵が描かれたソレ。

動物園のチケットだ。


「動物園に行くんだろう?」

「まだ早いよ」


動物園の開園は9時。

それも動物園は二駅隣にある為、30分程度で着くだろう。


今は6時過ぎ。

準備をするにしても早過ぎる。


「早く起きろ」

「だーかーら。まだ早いんだってば」

「動物園の前で待ってればいい」



今から準備して行ったりしたら8時前には着いちゃうよ。

開園する1時間もの間、動物園の前で何をしろと?
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