彼氏は11才!?
「4時30分に起きて作った」

「4時30分!?」


夜明けと同時じゃん!!


っていうか11歳でこの料理の腕前って何!?


私なんて廃棄物みたいな目玉焼きしか作れないよ!



「紅ちゃんって何でも出来るんだねぇ…」

「屋敷の料理人に教えてもらっただけだ」

「お母さんは作らなかったの?」

「あの女はそんなことはしない。手が汚れるから嫌だとか言っていたな」


手が汚れるって…それだけで?


「掃除も洗濯もしない。父と同じように愛人が何人も居て遊び回っていた女だ」


人様の親の悪口を言ってはいけないけど、ロクな母親じゃない。

私の母さんは乱暴者で金の亡者じみたところもあるけど、家事もきちんとするし気弱な父さんの代わりに私達を守ってくれる人だ。

運動会や授業参観だって欠かさず来てくれる。


きっと私は紅ちゃんと真逆の環境で育ったのだろう。


「どうした?」

「ううん、何でも無い」


笑って誤魔化し、着替えに自室へと戻った。




パジャマを脱ぎ、下着姿のままクローゼットを開けて服を見渡す。

仁王立ちで。


動物園に行くなら、カジュアルな服装の方がいいよね。
歩き回るし。

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