彼氏は11才!?
固まる母。
揺れる父のバーコードヘアー。


正宗の言葉を理解した瞬間、母は正宗にラリアットを食らわせた。

ちなみにラリアットとは相手の首元や胸部に自分の腕の内側部分で殴るという打撃技である。



「ダバァァァッ!!」


飲んでいた茶を噴水のごとく吹き出しながら吹き飛ぶ正宗。

リングの鬼神と呼ばれた母のラリアットは正に兵器だ。


「何でそんな大切なことを言わないの!!このクソガキがァァッ!!」

「ガフ…ッ、な、何で俺だけ……っ」

「白雪はただでさえ頭腐ってんのよ!!打ち所が悪くて悪化したらどうすんの!!」


オイ、待て。
今のは母親が言う台詞じゃないだろうよ。

そんなに堂々と言われたらさすがの私も切ないんだけど。



「母さん、正宗をシバく前に知子さんに連絡しなさい」

「そ、そうね!」



父に促され、電話に駆け寄る母。


「母さん、あんまり悲しそうじゃないね」


母の背中を眺めながら呟くと、父は少し悲しそうに笑った。
残り少ない髪が悲しい笑顔を倍増させる。


「母さんはあんまり家族仲が良くなかったからなぁ。紅一郎君を清彦君がウチに預けに来たのも最終手段だったんだよ」

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