彼氏は11才!?
どこの店も施設も開いて無いからね。

開いてるのはコンビニくらいだろうよ。



「後7分くらいで電車来るからね」


ベンチに座り、私達は取り留めの無い話をした。


学校のことや格闘技、紅ちゃんが今まで住んでたドイツのこと。


そのうち電車が来て、電車に乗っている間も私達は色んなことを話した。








AM 8:03


そして到着してしまった動物園。


案の定、動物園の門は固く閉ざされている。


暇を潰そうにも周囲にはコンビニ一つ見当たらない。

入り口に堂々と立つ巨大なゴリラのオブジェが切なげに私達を見下ろしているだけで他には何も無い。


「白雪はここには来たことあるのか?」

「あるよ。家から近いからね」



確か私が8歳くらいの時だろうか。

あの時は大変だった。


園内で飼育されていた虎と熊が逃げ出し、ゴリラの檻の前で殺し合いをしやがったのだ。
その場面に私達は遭遇し、生の弱肉強食を見てしまった。

それはもう凄まじい死闘を繰り返す虎と熊。


結局、勝利したのは虎だった。


熊の返り血を浴びて地に伏す熊の内臓を貪り食う虎の姿は今でも忘れられない。


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