君と私のたんぼ道
お父さんが家に来て1週間がたった。

お母さんは今まで以上に冷たくなった。

「あ、あの、お母さん…」

「今は話しかけないでって言ってるでしょ!!」

「ご、ごめんなさい…。」

怖かった。

そしてまたお父さんが来た。

私は階段の横でバレないように2人の姿を見ていた。

「母さん…俺と…再婚してくれないか…?」

再婚…、また私とお父さんとお母さんが家族になるの?

そんなの私ヤダ。
1度裏切った人と家族になるなんて絶対ヤダ。

お母さんもそう思ってる、そう思っていたのに…

「…はい。私でよければ…!」

嬉しそうに泣きながら言うお母さん。

え?なんで?あんなに嫌ってたのに?

人って怖い、そうこの時知った。

それからお父さんは私たちの家に来た。

「祈ー、今日も帰り遅いのかー?」

「うん。」

優しく言うお父さんに対して冷たく返す自分。

私はどうしてもお父さんが好きになれない。

実の父親、そう分かっているのに…。

「なんか冷たくないか?」

「別に…。」

そんな言葉の繰り返し。
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