君と私のたんぼ道
「祈の好きな人は?」

え、私の好きな人?

「誰だろ、分かんないや…。」

私に好きな人などいるのだろうか。
こんな惨めな私を愛してくれる人なんているのだろうか。

「分かんないわけないでしょ?祈が気付いてないでけ。」

「え。」

気づいてないでけ?

「私には分かるよ。祈の好きな人。」

「…誰?」

優衣には分かる…?

「井上君…でしょ?」

「空…?」

空。
確かに私のことを救ってくれた人。
いつも笑顔で眩しくて。
その名の通り空のように広い心をもっている優しい人。

「そう。祈は空と出会って、生きる希望を、生きてる楽しさを、素晴らしさを、命の大事さを、もらった。」

私は黙って頷いた。

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