君と私のたんぼ道
「祈…。おかえり。」

お母さんが出迎えてくれた。

お母さんが私の肩を触ろうとしたが怖くて空の服の裾を掴んでしまった。

「祈…。」

あ、またお母さんの悲しい声だ…。

「祈、大丈夫けん、言いたいこと言い。」

私は頷く。

「お母さん、お父さん、私ね言いたいことがあるの…。」

「何…?」

「どうした。」

今にも泣きそうになる。
けど、私は泣かない。
大事なことを空に教えてもらったから。

「あのね、私ね、ここに行って、って言われたときすごく悲しかった。なんで、ってすごく思った。ずっと捨てられたんだ、って思ってた。私ね、ずっと寂しかったの…。お母さんとお父さんからとっも愛されたいの。私は2人が大好きだから。だから愛してほしい…。」

涙が止まらない。
お母さんとお父さんはなんて言うのだろう。
呆れるのかな。
そもそももう呆れられてるかな。
でも私は好きだから。


「祈…。ごめんね。お母さんたち祈の将来のことばっか考えて今の祈のこと考えてなかったね。」

「え…。」

将来?

「お父さんたちは祈が将来頼もしくなってほしくて、でもお父さんたち再婚だろ?だからお父さんたちから離れたら、もっとちゃんとした人になっると思ったんだ。こんなやつのところで生活してもダメだと思ったんだ。でも結局祈を苦しませたな。ごめんな。」

「お父さん、お母さん…。確かに私は2人が嫌いだった。1回お母さんと私を捨てたのになのに、普通に戻ってお母さんに告白してお母さんも喜んで。私にはあり得なかった。でも2人はそれほど愛し合っていたんだよね?ごめんね、気付かなくて…。私はお父さんとお母さんが大好きだよ。」

「お母さんたちも祈のことを邪魔なんて思ったことないわ。ずっと私の大事な大切な可愛い子供よ。」

「お母さん…お父さん…。」

お母さんとお父さんが私を抱きしめてくれた。
私は泣いた。  

新しく知った真実。
私はずっ2人に愛されていたんだね。
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