君と私のたんぼ道

さようなら

「祈本間にええんか?」

「うん。」

おばあちゃんが心配そうに聞いてくる。
でも私が決めたこと。

「空にも優衣ちゃんにも涼夜くん言わんと帰るなんて寂しいやろ?せめて3人には言ったらどう?」

「ううん、良いの。これで良いの。」

もう空にも優衣にも涼夜にも会わない。
だから帰ることも言わない。

「祈!そろそろ行くわよ!」

「あ、うん。」

お母さんに言われて私はおばあちゃんに感謝する。

「おばあちゃん、今日までありがとう。おばちゃんがいなかったら私こんな風になれてなかったと思う。本当にありがとう。大好きだよ。」

自分の精一杯の言葉で。
深くお辞儀する。

「ありがとう。」

おばあちゃんは泣いていた。

「ばいばい…。」

「ばいばい、またおいで。」

おばあちゃんはいつもどおりの笑顔で私を見送ってくれた。

ありがとう。
みんな。
もう会うことはないけど、私はみんなに出会えて幸せです。

でもまだ空と優衣と涼夜のメアドは消せない。
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