モラトリアム

敬太君。
ごめん待った?
彼女が来た。
待ち合わせのカフェにほぼ時間通りに来てくれていた。

全然待ってないよ。
僕も今来たばかりなんだ。

本当は少し待ったのは言わないでおく。

本当に待ってない?
大丈夫?
嫌いになってないよね?

大丈夫だよ。全然大丈夫だから。
彼女は少し心配性な所がある。
沙織さんは気にし過ぎだょ。僕なら全然大丈夫だからっ…ね?

うん。ありがとう。
彼女はニコッと笑う。

今日はどこに行こっか?

そうだなぁ。
新しい居酒屋を見つけたんだけど、そこに行こうよ。

うん。そこ行こー。
彼女は笑いながら応える。
本当に可愛い人だ。
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