カタオモイ。
立ちはだかる真実
…?
郁斗が…携帯で電話をしているようだ…
誰に?…まさか…
「結李、郁斗が電話してるんだけど…誰に電話してるんだろうね?」
「そうだな」
「あたし的にさ、美華だと思うんだ」
「今のうちに黒崎兄に話しかければ?」
結李は郁斗の事を『黒崎兄』という。
『黒崎』と言ったら陸哉も同じだから…
『兄』とつけるんだろうな。
向こうからある人影が現れた。
「ねえ。結李、見て?」
あたしはその人を指差した。
「どこ?…あっ…」
その姿は…美華だった。
美華は携帯を手に、電話をしている。
どこかをきょろきょろと見渡している。