カタオモイ。

そして学校祭まであと1週間になった土曜日の朝―――。

起きたばっかりで背伸びとしていた時のこと。


「う…んっ…ケホッ…ケホッ…ゲホッッゴホッゴホッ…」


早朝にもかかわらず、咳がいつもより酷くなっていた。



「…母さん…」

「…なに?…ってっ!!どうしたの!!?美玲!!?」


あたしは壁に這いつくばるようにして母を呼んだ。

その状況を見て、母はすぐに何かを察知した。


「咳が…止まらなくて…ケホッ…ケホッ…」

「今日の部活はどうするの?」

「…行きたい…けど…」

「病院行く?」

「……そうする…」



これが間違いだったのかもしれない。

ここで病院に行かなければ…。

ここで『部活行く』って言っていれば…。




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