カタオモイ。

次の日の夕方―――


「美玲!」

「なに?お母さん」


いきなり母に呼ばれた。


「同じクラスの人で家の前通る子いる?」

「家の前通る人ぉ?」


家の前を通る人…

いたっけ…?

あっ!


「あっ!違うクラスの人ならいるよ!」

「誰?」

「亜華音!」

「あぁ!亜華音ちゃん!」


亜華音《あかね》とは…

中学生になって吹奏楽部に入って初めて仲良くなった人。

母さんは亜華音の事を知ってる。

だから亜華音で反応した。


「んじゃ亜華音ちゃんにさ、メールしてみてくれない?」

「なんで?」

「あんた肺炎で学校行けないじゃん」

「うん。それで?」

「それでさ、出校停止の紙貰って来て欲しいんだけど…」

「出校停止の紙?」

「うん。今からメールしてみて」

「わかったぁ…」


あたしは出校停止っていう扱いになるんだ…。

なんかヤダな…。

あたしは学校に行きたいのに、それを許してくれない。

学校…

行きたいな…。


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