カタオモイ。

―――暗闇の中人影を見つけた。


「あっ!」


私は思わず叫んだ。


「どうした?」


郁斗はあたしの顔を覗き込んだ。



「あそこ…人影が…」


病院の近くの電信柱に仁王立ちをしてる人がいる。


「人?」


「そりゃそうっしょ!人じゃなきゃメッチャ怖いしっ!」


「そうかなぁ?」


「でもちょっと待って…あれって…」


「なに?知ってる人?」


「…お母さんかも?」


「うそっ!?マジで!?」


「そうっぽい…。」



その人の近くに私たちは近づいた。


「美玲!なにやってるの?」


あっ。怒られるっ!!


「こんばんわぁ~。」


こんなときにも関わらず郁斗は私のお母さんに挨拶をした。



「あぁ~。こんばんわ。ここまで送ってくれてありがとね♪」


「いえっ!んじゃ、さようなら。」


「「ばいばぁ~い。」」



郁斗は自転車に乗って帰って行った。





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