レモンスカッシュ



「ねぇねぇ。
泣いてるの?
俺達が慰めてあげようか?」


顔を上げると、知らない男が2人。

遠矢は…いない。


「あの、ごめんなさい。
大丈夫です。」


遠矢いないし、もう帰ろう。

今日は駄目だ。

遠矢を思うだけで、涙が出て来る。


「いいじゃん、一緒に行こ?」


腕を掴まれ、遠矢の歩いて行った方とは逆の方向に歩き出す。


「は、離してっ!」


「男に泣かされた?
そんなこと、俺達が忘れさせてあげるって。」


泣かされたんじゃない。

私が勝手に泣いただけ。


俯くと、不意に後ろから肩を抱かれ、耳に息が掛かる。

振り返らなくても誰か分かる。


「触れんな!」


腕を引かれ、その男達から走って逃げる。


この手があるだけですっごく安心する。

戻って来てくれてありがとう。


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