レモンスカッシュ



あの2人から逃げるために走り出してから、もう数分。

そろそろいいんじゃない?


「遠矢、もう大丈夫だよ?」


「無理。」


無理って何、無理って。

いつまで走るの?

いつの間にか住宅街に入っちゃってるよ。

一体、どこまで行くんだろ?


そう思ってると、遠矢の足が止まる。


「遠矢?」


顔を見ようとするが、目を合わせてくれない。

怒ってる?


「…ここ、俺ん家。」


…へ?

遠矢のー…家?


「あ、ちょっと。」


私の腕を引いて、家の鍵を開け、中に入る。


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