双華の香
「なによもう!みっちゃんの馬鹿!
だいきらいっ!!!」
人気がないのを良いことに、みっちゃんへの不満を言い散らかしながら歩く
「男の人なんて、みっちゃんと番頭さんくらいしか知らないもん!
色気なんて…あーバカバカ!!!」
頭の中は昼間の会話のことばかり
みっちゃん…あんな風にわたしのこと思ってたんだ…
馬鹿にしてたんだ
「…はぁ」
いつの間にか辿り着いた川の岸に座り込む
静かに音を立てて流れる川を見ていると、少しばかり心も落ち着いた
「―――具合でも悪いのか?」
女の人の声が聞こえたのは、そんな時だった